DNA Climate Project

Challenge to the new generation cloud
resolving climate simulation

コラムColumn


太平洋、大西洋、インド洋の三つの大洋では、水面から深さおよそ500mまでの層で水が南北方向に流れる循環が存在しています。このうち太平洋、大西洋の南北循環は亜熱帯セル、インド洋の南北循環は赤道を横切るセルとそれぞれ呼ばれており、振る舞いが大きく異なります*1。 太平洋、大西洋では赤道付近で深くから水が湧き上がり、その水が北半球では北向き、南半球では南向きに流れます。これらの水は亜熱帯まで流れ……

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台風は熱帯で発生する、非常に強い風を伴った低気圧です。大雨・暴風・高潮を伴うため各地で大きな被害をもたらしており、強い台風はもちろん、弱めの台風や、台風の基準に満たない熱帯低気圧であっても、大雨で重大な災害をもたらすことがあり油断は禁物です。台風の強さは中心付近の最大風速によって測ることが普通ですが、どのようなときに強く発達するのでしょうか。 台風は海から供給される熱エネルギーを使って発達……

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海面水温は大規模な気候の変動にとって、重要な役割を果たしています(参考: https://dna-climate.org/2022/03/18/ocean-mixing/)。海面水温の変動について研究する際には、平均的な年からどれだけずれているかに着目することが多く、これを偏差と呼びます。天気予報などで見られる例年よりも暖かい(寒い)といったような表現も偏差の考え方を使っています。北緯30度より……

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積雲は晴れた日中によく見られるモコモコとした背の高い雲です。積雲の中では、水蒸気が凝結して液体になり、水の状態変化にともなう熱が発生しています。この熱で暖められた空気は周囲の冷たい空気よりも軽いために浮力を受けて、強い上向きの流れを作ります(図1左)。積雲はこの上昇する空気に乗せて様々な状態の水や熱を上下方向に運ぶプロセスであると考えることができ、地球上のいたるところで発生して地球全体の大気の状……

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水は同じ質量の空気より多くの熱を蓄えることができ、海洋全体では大気全体と比べて1000倍以上の熱容量を持っています。この性質から海洋は大量の熱を蓄積しており、大気と熱のやりとりをすることで気候や気象に大きな影響を与えています。なかでも海洋の蓄熱量が地球上で最も多いのが西太平洋から東インド洋にかけての赤道付近で、他の海域に比べて高い海面水温を示しています(図1)。特に一年を通して海面水温が28℃を……

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2022年7月14日コラム

放射対流平衡

地球のエネルギー収支しゅうしとは? 「収支」とは、あるシステムに何かがどれだけ出入りして、どれだけがシステムの中に残るかを示すものです。たとえば、家計の収支は家に入って来るお金(収入)と出て行くお金(支出)、そして家に残るお金(貯蓄)について考えます。いっぽう地球のシステムでは、お金の代わりにエネルギーについて考えます。地球のエネルギー収支は太陽から電磁波の放射として受け取るエネルギーと、逆に宇……

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2022年4月21日コラム

海の“換気”

海は大気と水や二酸化炭素をやり取りすることで、私たちの気候に大きな影響を与えることが知られています。たとえば、海は人間の活動によって出た二酸化炭素の約30パーセントを吸収していることが知られており、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収する海には地球温暖化を抑える働きがあると言えます。また、大気から受け取った雨水などの淡水も海面から海の中に運ばれます。図1は北太平洋3月における塩分分布の南北断面……

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大気と海洋はその境界でさかんに熱や水蒸気のやり取りを行っています。地球の表面の約70パーセントを覆う海洋の変動を理解することは大気の変動を考える際に重要です。例えば、エルニーニョ/南方振動(エルニーニョ・ラニーニャ現象)では熱帯太平洋の中央部から東部で海面の水温が変動し、上空の風や降水などに変化をもたらし、海洋と大気の相互作用が重要な現象の一つと言えます。 海洋の変動を考える際には、水温……

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インド洋の西部に位置する西部アラビア海では、夏季にインドモンスーンに関連する強い南西風(風速15 m/s程度)が持続的に吹いています。この南西風は海洋からインド半島の西の地域へ多量の水蒸気を運び、降水を引き起こします(図1)。西部アラビア海はこの水蒸気を運ぶ経路の上にあるため、例えばこの海域の海面水温が平年より高い年には海面からの蒸発が活発になり、インド半島の西の地域における降水も増加する傾向に……

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図1のような雲の縞々しましまの構造をトランスバースラインまたは巻雲バンドと呼びます。この周辺では乱気流がよく発生するため、航空機を運航するうえで注意が必要な現象です。この現象は偏西風が特に強まっているエリア「ジェット気流」や、台風などの周囲に現れることがあり、出現する高度はたいてい地表から10〜15kmです。縞の間隔が数十kmと大きいため、地上から見て気付くことは難しいですが、衛星画像ではよく目……

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